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X線透過検査とCT検査の基礎
製造現場では、製品内部の状態を非破壊で評価する手段として、 X線透過検査(X-ray)が広く活用されています。近年、部品の高密度化や複雑化が進み、従来の透過検査に加え、X線CT(コンピュータ断層撮影:Computed Tomography)による三次元解析の重要性が高まっています。
本記事では、X線検査の基本から、透過画像とCT画像の違い、それぞれの得意分野や使い分けのポイントまでを、導入を検討する方に向けてご紹介します。
X線透過検査とは
X線透過検査とは、
放射線が物体を透過する際に、材質や厚み、密度の違いによって減衰する性質を利用した非破壊検査手法です。
透過した放射線量を検出器で取得し、濃淡画像として可視化することで、製品内部の状態を確認します。
この検査では、X線発生器と検出器の間にワーク(検査対象物)を配置し、X線を照射して撮影を行います。製品を破壊することなく内部構造を確認できるため、品質保証や不良解析において欠かせない技術です。
なお、X線の基本原理や詳細については以下のページで説明しているので、ぜひご覧ください。
CT検査とは
CT検査は、X線透過検査と同じ原理を用いながら、ワークを多方向から撮影し、
取得した多数の画像をコンピュータで再構成する点が特徴です。
この「再構成」とは、各方向から撮影した断面画像を統合し、三次元モデルとして生成する処理を指します。これにより、製品内部の構造を立体的に可視化できます。
この手法を用いることで、欠陥の位置や形状を正確に把握できるだけでなく、寸法測定や体積評価など定量的な解析も可能です。
そのため、内部構造が複雑な部品や、高い精度が求められる製品の品質保証において、CT検査は非常に有効な検査手法です。
透過画像(X線透視)とCT画像の比較
透過画像は、製品全体の状態を迅速に把握するのに適しており、量産ラインにおける異物検査や平面的欠陥確認に広く利用されています。
一方、CT画像は、複雑な内部構造や深さ方向の情報を必要とする場合に有効で、三次元的な解析が可能です。
それぞれの特徴と得意分野を理解することで、検査対象物や検査目的に応じた最適な検査方式を選定できます。

透視(X線透過画像撮影)
特徴
X線を1方向から照射し、製品内部の状態を平面画像として投影・表示します。
複数の内部情報が1枚の画像に集約されるため、製品全体の状態を短時間で把握できる点が特徴です。
透視撮影ではフィルムでの撮影と、デジタルでの2種類と撮影方法がありますが、本ページではデジタル撮影の特徴について記載します。
用途
- 異物混入の有無確認
- 巣穴や割れなどの簡易的な欠陥チェック
長所
- 検査スピードが非常に速い
- 製品内部の状態を一目で把握できる
- 工程検査やサンプル評価に適している
短所
- 立体的な形状が重なって写るため、複雑な形状や重なり部分に存在する欠陥は判別が困難
- 深さ方向の情報が得られない
- 欠陥のサイズや正確な位置を厳密に評価する用途には不向き
CT(X線コンピュータ断層撮影)
特徴
ワークを360°※の方向から撮影し、取得した画像をコンピュータで再構成することで、断層画像や3Dモデルを生成します。
※再構成ソフトによっては、半分の180°方向からの撮影でも再構成が可能な場合があります。
用途
- 欠陥の形状解析(空洞・巣穴・割れ)
- 深さ方向の位置特定
- 複雑形状部品の内部構造解析
長所
- 任意の断面をスライス表示でき、内部状態を高精度に可視化
- 欠陥のサイズ・形状・分布を詳細に分析
- 3Dデータを利用した定量的な評価が可能
短所
- 1つのワークに対するデータ量が非常に大きく、全数検査には時間を要する
- 高額なCTソフトが必要(導入コストが高い)
- 再構成や解析といった工程が必要
- アーチファクトが生じるため、見たい箇所を見られない可能性がある
透過画像の特徴について
透過画像では、検査対象物の密度差によって画素値(濃淡)が変化します。
- 密度が低い部分 → 白く(明るく)表示
- 密度が高い部分 → 黒く(暗く)表示
例えば、金属内部に、密度の高い異物が混入している場合は黒っぽく表示され、一方で鋳造品に発生する巣穴のような密度の低い部分は、白っぽく見えることがあります。
また、1方向からの撮影だけでなく、複数方向から透過撮影を行うことで、欠陥のおおよその位置や分布を推定することも可能です。

透過画像が強みを発揮するケース
- 量産ラインでの全数検査を効率的に実施したい
- 不良品の一次スクリーニングを行いたい
CT画像の特徴とメリット
CTでは、ワークを多方向から撮影した数百〜数千枚の画像をもとに、コンピュータで3Dデータへ再構成します。
この再構成プロセスにより、任意の断面をスライス表示できるため、従来の透過画像では困難だった複雑な欠陥の位置や形状を、三次元的に把握することが可能です。3Dデータを活用することで、設計改善や製造プロセスの最適化といった品質向上施策に繋がります。

CTが強みを発揮するケース
- 巣穴の体積を知りたい
- 欠陥が表面から何mm位置にあるか知りたい
- 複雑形状の製品における内部構造を評価したい
透視とCTはどう使い分ける?
ここまでご紹介してきたように、X線透過検査とCT検査は、それぞれ異なる特性と得意分野を持っています。
以下のように整理することで、ワークや検査目的に応じた最適な検査方式を判断しやすくなります。
| 項目 | 透過画像 | CT |
|---|---|---|
| スピード | ◎(高速) | △(長時間) |
| 欠陥の有無判定 | ○ | ◎ |
| 欠陥の形状・深さ分析 | △ | ◎ |
| 全数検査 | ◎ | △ |
| 3Dデータの活用 | × | ◎ |
| コスト | 低 | 高 |
検査導入前に重要なポイント
それぞれの特徴を踏まえると、導入前に検査対象の特性を正しく把握することが不可欠です。
例えば、自動車部品の検査では、部品の厚みや材質に応じたX線強度の設定が必要となります。また、異物検査を行う場合には、ワークと異物との間に十分な比重差(密度差)が必要であり、この差が確保されていない場合、異物の判別が極めて困難になります。
X線検査は万能な検査手法ではなく、素材・厚み・密度といった条件によって、内部をどこまで透過・可視化できるかが決まります。
事前に確認すべき項目
- ワークの材質
- 最大厚み
- 欠陥の種類(異物・巣穴・割れなど)・サイズ
- 検査したい精度や目的
- 生産ラインでの検査か、サンプル評価か
条件によっては、X線が十分に通らず、欠陥の判別が難しいケースもあります。
そのため、検査導入前には事前調査(テスト撮影)を行い、適切な撮影条件や検査方式を見極めることが非常に重要です。
X線検査で内部品質を「見える化」
近年、製造業では品質要求の高度化やトレーサビリティ強化が進み、製品内部の状態を「見える化」する検査技術の重要性がますます高まっています。
外観検査や抜き取り検査だけでは把握できない内部欠陥を、非破壊で評価できるX線検査は、品質保証を支える中核技術の1つです。
これまでの章でご説明した通り、X線透過検査とCT検査はそれぞれ特性が異なりますが、目的に応じて適切に使い分けることで、製品内部の状態を高精度に評価できます。
- 透視 → 全体把握・高速検査に最適
- CT → 詳細解析・三次元評価に最適
X線検査を効果的に活用することで、歩留まり向上や品質改善、不良原因の早期特定に大きく貢献します。
「このワークはX線で見えるのか?」「欠陥をどこまで評価できるのか?」といったご相談も、無料で受け付けております。
X線透過検査・CT検査の導入をご検討の方は、ぜひお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
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